個人・法人どっちがおトク?(1)

◆本文
税理士お得意の税金の話ということで議題をあげてみました。とは言っても節税のピークポイントを探るのは容易ではなく、判断には非常に広い税体系の知識が必要となります。そこで、個人・法人それぞれの課税の特徴をお話します。内容を理解しやすくするために詳しい部分には触れないようにしていますが、本当はもっと複雑であることをお断りしておきます。

(1)税率構造
法人の方が節税になるというのはその事業が儲かっていることが前提です。個人の場合には利益が大きくなればなるほど重たい税率が適用される「超過累進税率」という方法が採用されています。例えば、H18年度税制改正ベースで、課税所得が195万円以下ですと所得税・個人住民税・個人事業税の表面税率は20%にすぎませんが、課税所得が1,800万円を超えるとその表面税率は55%にもなります(実効税率はもう少し低い)。
一方、法人の場合には原則として利益に関係なく「一定税率」の考え方が採られています。法人税・法人住民税・法人事業税の表面税率は利益に関係なく約45%(実行税率はもう少し低い)になります。また、所得が800万円以下の部分については法人税と法人事業税で税率が優遇されています。

(2) 役員報酬
もし法人で営業をするなら、社長など会社役員に給料を払うと思います。これが役員報酬ですが、これは会社の経費になる一方でこの部分は社長個人に対して所得税が課せられることになります。このことから、法人の場合には儲けを法人と個人へ分散できるので節税になります。さらに社長は支払いを受けた役員報酬から見かけの経費(給与所得控除)を差し引いたぶんだけが課税されるのでさらに節税になります。

(3)退職金
個人事業者の場合、妻などの専従者に対する給与は必要経に算入できますが、退職金の支払いは必要経費としては認められません。一方、法人の場合には同一生計という概念がないので、その退職金が適正額である以上は経費に計上できます。また、受け取った側でも退職金課税は非常に有利な取り扱いになっています。

(4)欠損金・純損
赤字の取り扱いです。法人の場合には欠損金というのですが、この赤字を7年間にわたって翌期以降に持ち越すことができます。例えば、単年度課税ベースの所得が前期:▲50、当期:50としますと、当期は50-50(前期赤字)=0となり課税されません。この持越しが法人では7年可能なのですが、個人では3年しか認められません。その後は切り捨てです。この切捨てが起こりますと、例えば数十年間での納税状況を見た場合非常に効率の悪い納税となってしまいます。もちろん、数十年間通して赤字の場合には関係ないことになりますが、毎年事業が赤字というのは節税以前の重大な問題ですね!

(5)減価償却
減価償却の正しい意味をご存知でしょうか。例えば、自動車を180万円で購入しても180万円全てが購入したときの費用にはなりません。これが税法上6年で減価償却するように規定されていたとすると毎年30万円ずつ費用に計上することになります(あくまでも考え方)。個人の場合には、この減価償却費は30万円でなければなりませんが、法人の場合には30万円以内であれば任意に決めることができます。会社法には違反していますが税法上は可能です。このことで、法人の場合には欠損金の切捨て防止策にも使えることになります。

次ページへ続く


「会社設立」の前に知っておきたいこと
はじめに
会社にはどんな種類があるの?
会社法における株式会社とは?
LLCやLLPという選択もある!
事業を始めるなら個人or法人?
個人・法人どっちがおトク?(1)
個人・法人どっちがおトク?(2)
三保税理士事務所トップ 節税 相続 会社設立
 
  無断転載禁止